赤と白のデザインが目印!【大阪市中央公会堂】の特別室見学ツアーで、レトロ建築を楽しむ!
2019.10.30
ここでは、大阪市中央公会堂(以下、公会堂)の特別室ガイドツアーをご紹介します。公会堂は知っているけれども、入ったことはない!という方が多いのではないでしょうか。私も大阪在住ですが、その1人でした。
「一度見てみたいけれども、お金を払ってまで見る価値はあるの?」
このような不安を解決するために、ここでまずは特別室ガイドツアーを体験されてみてはいかがでしょうか。
ここでは、ガイドツアーをご紹介するだけでなく、申し込み方法、料金、そして、最寄り駅となる京阪電車淀屋橋駅と北浜駅からのアクセスもご紹介しています。
では、特別室ガイドツアーのご紹介をはじめましょう。
目次
1.大阪市中央公会堂ってどんなところなの?
ガイドツアーを始める前に、公会堂について少しだけご紹介します。
公会堂は、1918年(大正7年)に完成、100年以上の歴史があります。
「そんなに古い建物だと、地震などが起きたら壊れてしまうのでは?」と思いますよね。
でも、そこはご安心を!
地震などの災害から公会堂を守るため、1999年(平成11年)から、免震構造を取り入れた保存・再生工事がおこなわれました。
2002年(平成14年)無事工事が終わり、利用が再開されました。そのとき国の重要文化財にも指定されました。
2.特別室ガイドツアーについて
この記事でご紹介する、特別室ガイドツアーは、普段見ることができない特別室を、公会堂のスタッフさんの説明を聞きながら見学できます。
所要時間は約30分。ガイドツアーには2つのコースがあります。
・ベーシックコース:500円(税込)
・スペシャルコース:2,000円(税込)
2つのコースの違いは、公会堂にあるレストランでのランチを選ぶかどうかだけ。特別室見学ツアーの内容は変わりません。
申し込み方法やツアーの開催日については、あとで詳しくご紹介します。
こちらがガイドツアーの参加証。
公会堂は、地下1階・地上3階建て。1階と2階は大集会室と会議室があり、3階には中・小集会室と特別室などがあります。
ガイドツアーでは地下1階にある展示室と、普段入ることができない3階の特別室を回ります。
2-1.まずは展示室へ
こちらが展示室。私が参加したツアーでは、20数名の方が参加されていました。あと、このツアーでは、写真撮影はOKです。
公会堂の父、岩本栄之助
この公会堂は、1人の市民の寄付によって作られました。その方が岩本栄之助。公会堂の父とも呼ばれています。
岩本栄之助は、明治後半から大正にかけて大阪の株式相場で活躍した人です。1907年(明治40年)日露戦争後のパニックで混乱する北浜を、全財産をつぎ込み救いました。
この活躍で、「北浜の恩人」「株式買いの義人」と呼ばれるようになりました。
32歳の時に、渋沢栄一(次の1万円札の図柄になる方)を団長とする「渡米実業団」に参加。訪れたアメリカの地で、富豪たちが公共事業や慈善事業に熱心なことを知ります。
帰国後、100万円(現在の価値で数十億円!)の寄付を大阪市に申し出ます。寄付の使い道は協議を重ね、公会堂の建設に決定します。
ですが、株式相場で苦境に立った岩本栄之助は、公会堂の完成を待つことなく、1916年(大正5年)39歳で自らの命を絶ちました。
こちらのケースには建築当時のカーテンや、調度品が飾られています。
展示室では、公会堂の歴史、保存・再生工事、建設当時に使われていた食器なども見ることができます。
ツアーでは、30分という時間の関係でしょう、駆け足の紹介になります。特別室を見学したあと、ゆっくりと見学されてもいいでしょう。
では、続いて、お目当ての特別室へ移動します。 どのようなお部屋なのか、楽しみですね。
2-2.さぁ、特別室へ!
特別室に入って最初に思ったことは、「おお~!おしゃれ~」でした。ほかの参加者の方も同じように感じられたのでしょう。皆さん、すぐにパシャパシャと写真を撮りはじめました。
特別室は、建設当時、大阪市長たちのお客さんをもてなす「貴賓室(きひんしつ)」として使われていて、一般には解放されていませんでした。大正時代でしたら、私たちが中に入るということはできなかったのですね。
特別室は見どころが一杯です。1つずつご紹介します。まずは天井画から。
天井画
こちらが天井画。
この天井画は、日本神話の国づくりの場面、「天地開闢(てんちかいびゃく)」が描かれています。
伊邪那岐(いざなぎ)と伊邪那美(いざなみ)が、天津神(あまつかみ)から国づくりのために用いる天沼矛(あめのぬぼこ)を賜るシーンです。
大きく手を広げているのが伊邪那岐、ひざまずいているのが伊邪那美。青い着物を着ているのが天津神です。
少し角度を変えて。天井の装飾も素晴らしいです。
南北の壁に書かれた大阪の守り神
壁には工業と商業の神様が描かれています。公会堂が建設された当時、大阪では工業と商業の両方が栄えた時代でした。その繁栄が続くようにと描かれたそうです。
北側の壁画。中央に描かれているのは、商売の神スサノオノミコト。
南側の壁画。中央に描かれているのは、工業の神フトダマノミコト。
天井画と扉の間にも壁画。中央に描かれているのは、仁徳天皇(にんとくてんのう)。世界遺産に指定された、「仁徳天皇陵(にんとくてんのうりょう)に、埋葬されている方です。
この壁画は、民(たみ)の家から食事を作る煙が上がっていないことを知り、仁徳天皇が税金を3年間無税とした逸話、「民のかまど」を描いたものです。
工夫が凝らされたステンドグラス
こちらが特別室のステンドグラスです。祝いの象徴とされる「鳳凰(ほうおう)」と、大阪市の市章の「みおつくし」が描かれています。
ここで、案内をしてくださっている職員の方から質問、「みおつくしとは、どのようなマークですか? どこに描かれているか? わかりますか?」と。
鳳凰の足元に描かれている、白いリボンのようなデザインが「みおつくし」です。
大阪湾は浅瀬が多かったので、船の安全な航路を示すために、昔は浅瀬に木の杭が立てられていました。この木の杭を「みおつくし」といいます。
大阪市は、昔から船や水路との関係が深かったので、「みおつくし」が市章となりました。
ステンドグラスの左右にある、丸いガラス。このガラスは凸レンズになっていて、窓から入る光を拡散させ、室内を美しく見せるためにつけられています。
で、このガラス、少し離れて見ると、景色がさかさまになって見えます。
今は作れる人がいない!扉の装飾
特別室の扉です。扉に装飾がされています。とてもきれいな装飾ですが、これは、彫ったり、書かれたりしたものではありません。
「では、どうやって作ったの?」
扉に近づいてみましょう。
扉と装飾の間に、すき間が見えますでしょう。この扉の装飾は、違う色の木をはめ込んで作られています。この方法を「木工象嵌(もっこうぞうがん)」といいます。
とても、手間のかかる、そして高い技術を必要とする方法です。今、この方法で作れる人はいません。ですから、この写真のように、痛んできても、修理ができません。100年の時を経て、ところどころに痛みがあるのが残念ですが、とてもとても貴重なものなのです。
床の大理石にも特別な技術が!
特別室に使われている大理石は、現在ではほとんど手に入れることができない、国産の大理石が使われているそう。
こちらは、床の大理石です。黒いタイルが9枚、白いタイルが9枚と敷かれているように見えますが、タイル9枚で1枚なのです。
「どういうことなの?」
1枚の大きな大理石のタイルを、9枚の小さな大理石のタイルに見えるように、うすい溝が入っています。この溝のことを「化粧目地(けしょうめじ)」といいます。
化粧目地を入れる技術は、とてもむつかしいもので、現在では再現できる職人さんはいないといわれています。
大理石には化石も見つけることができます。
シミのような模様が化石です。二枚貝の化石だそう。化石が好きな方には、室内の装飾より興味があるかもしれませんね。
柱にも工夫がされています。
こちらの柱、近くで見てもすべて大理石のように見えますが、白いところは、石膏に顔料を混ぜたもの、黒いところは本物の大理石です。
「触ってみてください。温度の違いが分かります」
職員の方に言われて触ってみると、本物の大理石が使われている黒いところのほうが、冷たく感じます。
このような工夫をしたのは、建設コストを削減するためだそうです。
これで特別室見学ツアーは終わりです。楽しい時間は早く過ぎるといいますが、あっという間の30分でした。
説明もとても分かりやすく、聞きなれない言葉はボードを使って説明してくださいます。特別室の説明で出てくる「木工象嵌」といった聞きなれない言葉もボードに書かれていました。
「知らない言葉が出てきて、説明が分からなくなった」
このような心配はありません。
2-3.特別室からの帰路は階段で
特別室見学ツアーでは、公会堂を利用する人しか使えない階段を利用することができます。
レトロな感じがとても素敵です。
特別室からの帰路は、エレベーターを利用することもできますが、階段を利用することをおすすめします。
こちらは2階。いたるところに装飾がされています。ツアー参加者の皆さんも、パチリパチリと写真を撮られていました。
2-4.自由見学エリアもお忘れなく!
公会堂には、自由見学エリアがあります。このエリアは、施設の利用者や、見学ツアー参加者以外の方でも見ることができる場所です。
建設当時の椅子も残されています。
この椅子は、公会堂が建設されたときのもの。木でできています。
座ってみるまでは、クッションも無いので、座り心地が悪いのではと思っていたのですが。
椅子に座ってみると、座り心地は良かったです。ただ、サイズが少し小さいように感じます。公会堂が建設された大正時代と、現代とでは体格差があるからかもしれません。
大集会室のロビー
東正面玄関です。大集会室のロビーへはこちらから入ります。
「ここ、入れるの?」
私もそう感じました。ドアの所に「自由にお入りいただけます」と書かれていたので、勇気を出して入りました。
ただ、大集会室がイベントなどで利用される時は、見学することができません。
中に入ってみると、高い天井、レトロな照明。豪華な雰囲気がとても素敵です。勇気を出して入ってよかったです。
ロビーからのぞいた大集会室。天井にはシャンデリア。こちらも、レトロで豪華な感じが素敵です。一度は入ってみたいですね。
3.特別室見学ツアーに申し込むにはどうすればいいの?
特別室ガイドツアーの申し込みは、WEBか電話でできます。
【WEBでの申し込み】
WEBで申し込みをする場合は、「大阪市生涯学習情報提供システム いちょうネット」で。
大阪市生涯学習情報提供システム いちょうネット
キーワード欄に「館内ガイドツアー」と入力し、検索ボタンを押すと、ガイドツアーの予約ができます。
【電話での申し込み】
電話を利用する場合は、公会堂の事務室へ連絡をします。
電話番号は、06-6208-2002
※利用時間は9:30~21:30。毎月第4火曜日(祝日の場合は直後の平日)および、12月28日から翌年1月4日は利用できません。
申し込み方法は2つありますが、どちらにも長所があります。
WEBの場合は、24時間いつでも申し込みが可能。電話の場合は、公会堂の職員の方と直接お話をしますから、ほかのイベントの情報も知ることができます。
私は、WEB、電話の両方で、申し込みをした経験があります。WEBですと、必要事項を入力するだけ。申し込みが完了すれば、確認メールが届きます。とても手軽です。
電話の場合は、先にもご紹介しましたが、特別室を見学できる、ほかのイベントを教えていただいたことがあります。希望した開催日が満席だったのですが、ほかのイベントで特別室を見学することができました。
4.特別室ガイドツアーはいつあるの?
ガイドツアーは、毎週開催されています。ただ、月によって曜日が変わります。
詳しい開催日は、先にご紹介した「いちょうネット」や、公会堂のホームページでご確認ください。
大阪市中央公会堂ガイドツアーのご案内
5.ガイドツアーには秘密のプレゼントが
公会堂のホームページにも、いちょうネットの申し込みページにも書かれていなかったのですが、参加者全員にプレゼントがいただけました!
こちらが引換券。どんなプレゼントがいただけるのか、楽しみです。2枚持っていますが、おひとり1枚です。
いただいたのは、公会堂のクリアファイル。このクリアファイル、305円(税込)もするのです。ツアー料金が500円ですから、とてもお得ですね。(2019年10月時点)
そして、案内をしてくださった職員の方が仰っていたのは、
「公会堂の昼と夜の姿が楽しめます!」
ということ。
クリアファイルに白い紙を入れてみました。写真では分かりにくいかもしれませんが、たしかに夜と昼の姿が楽しめます。
6.アクセス
公会堂への最寄り駅は、京阪電車の淀屋橋駅と北浜駅です。まずは淀屋橋駅からのアクセスをご紹介します。
6-1.京阪電車淀屋橋駅から公会堂へ
京阪電車淀屋橋駅の出口は、大阪寄りの西0号出口が便利です。
右前方にある上りのエスカレーターを利用します。
エスカレーターを降りて、左方向を見たところ。
正面の道は御堂筋です。ここを右へ。
橋を渡りきったところを右へ曲がります。
この下を流れるのは、土佐堀川です。風が強い日がありますから、日傘などを利用されているときは気をつけてください。
右に曲がったところ。左に見える建物は大阪市役所です。ここをまっすぐ進みます。
天気の良い日などは、ここでスケッチをしている人がいます。
左手前方に見えてきた、赤と白の建物が公会堂。ここは横断歩道がありません。自動車などにご注意ください。
お疲れさまです。
ガイドツアーの受付をする、事務室へは、階段を下りて左です。
6-2.京阪電車北浜駅から公会堂へ
京阪電車北浜駅の改札です。北浜駅の改札は1カ所だけです。
改札を出たら、右へ。
右へ曲がったところ。26番出口(中之島公園、東洋陶磁美術館方面)から地上へ出ます。
横断歩道を渡って右へ。 正面の道は堺筋です。
前方に公会堂が見えています。
まっすぐ進むと、歩道が左へ曲がります。道なりに進みます。
この橋は、浪速三大橋(なにわさんだいきょう)の1つ、難波橋(なにわばし)です。
直進します。木の枝に隠れていますが、正面に公会堂が見えています。
お疲れさまです、あと、もう少しです。
7.データ
住所:大阪市北区中之島1丁目1番27号
TEL:06-6208-2002
開館時間:9:30~21:30
※予約受付時間は9:30~21:30まで
休館日:毎月第4火曜日(祝日の場合は直後の平日)および、12月28日から翌年1月4日
8.まとめ
大阪市中央公会堂の特別室ガイドツアーは、いかがでしたでしょうか?
今では再現できない技術を使った扉や床。そして、天井一面に描かれた絵。実際に見ると、もっと、もっと素敵です。
予約もWEBでカンタンにできますし、最寄駅からのアクセスも分かりやすいと思います。一度訪ねられてみてはいかがでしょうか。
あなたの休日が素敵なものとなりますように!
※周辺のグルメ情報はこちら
【淀屋橋ランチ】こだわってます!個性豊かなオイシイおすすめのランチ
【北浜グルメ】ランチ・ディナー絶対はずさない!オススメ11選☆決定版!
※周辺の観光情報はこちら
大阪を代表するビジネスエリア【京阪淀屋橋駅】の魅力を徹底解説!